前作の『あなたには〜』が構成も人物もかっちり作った作品だったので、
対照的なものにしようと思って最初からあまり作らず、勢いで書いたものです。
舞台が同じ「みどりヶ丘」という架空の東京郊外の街で、
主人公も『あなたには〜』の夫婦の隣に住んでいる主婦で、
エピソードが重なっている部分もあります。これは『あなたには〜』
を書いている時から決めていたことでした。
同じ郊外の同じマンションの隣同士で、こんなにも違う日常が進行していることや、
同じマンションが楽園に感じる人も地獄に感じる人もいるっていうことが書きたかった。
『あなたには〜』はもちろん夫婦愛や不倫も書かれているんだけど、
どちらかというとそれは二の次だったから、こちらでは恋愛をちゃんと書こうと思いました。
これがいちばん好き、と言ってくれる人が多い作品ですね。
そう考えると、もしかしたら私はあんまり考えすぎずに
感情で書き飛ばしたほうがいいのでは・・・と考え込んでしまいます。
タイトルなんですが、私はなんだかタイトルでよくもめて、
すんなり通ることが少ないんです。これも出版社の方から大反対されました。
ラプンツェルっていうのが何だか分からない人が多いんじゃないかって言われて、
がくっと力が抜けましたね。分かるとか分からないとかそういう問題かっていうの。
このタイトルじゃなきゃ本は出さないと言って通しました。
そこまで言うほどのタイトルじゃないんですが(笑)、
「はい、そうですか」って簡単に変えるのが嫌だったんです。
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